ゲーム翻訳マンの稽古日誌

変身中はオラ。ふだんは私です。

ゲーム翻訳マンが校正とかチェックの仕事を回避する理由

オッス!オラ、ゲーム翻訳マンだ。

 

11月もあと一週間弱だな。

 

オラは今月のミッションを10月31日に書いて、毎日それをクリアするようにしてきた。そのうちの一つに「校正とかチェックとかレビューの仕事はよっぽどいい条件じゃなきゃやらない」っていうのがある。実際、今月はこれまでそれ系の仕事は受けてない。あっても全部ことわってきた。

 

今日は、なんでオラが校正とかチェックの仕事をなるべくやらねーようにしてるか書くぞ。

 

まず最初に確認しておくと、どうやらゲーム翻訳の世界では、一般的に校正とかチェックの仕事の相場は翻訳の半額ってことになってるみてーだ。翻訳を1文字4円でやってる人は校正では1文字2円。翻訳を1文字8円でやってる人は校正では1文字4円ってこと。

 

で、校正とかチェックの場合、1日あたりどのくらいの量を求められるかっていうと、人にもよるんだろうけど、どうも1日の翻訳量の2~3倍くらいの文字数をこなせないとやばそう。1日3000文字翻訳してる人ならチェックは1日6000~9000文字。1日4000文字翻訳してる人ならチェックは1日8000~12000文字。だいたいそのくらいを期待されてるような気がする。

 

1文字4円で1日3000文字翻訳してる人が、1文字2円で1日9000文字校正するなら、校正のほうがもうかるじゃん、かせげるじゃん、お得じゃん、って思う人がいるかもしんねぇな。実際、そういう考えのPM(プロジェクトマネージャー。フリーの翻訳者に仕事の打診をしてくれる翻訳会社の人)さんも多い感じがする。

 

でもさぁ、校正とかチェックの仕事ってぶっちゃけ翻訳より大変で時間がかかることが多いんだ。とても半額じゃやってらんねー。ちょ~割に合わない。

 

すごく単純に考えると、翻訳なら原文を理解すればOK(そのあと自分で訳さないといけないけど)。チェックは、原文と訳文を理解しないといけない。訳文をパッと見たときに、変だな、たぶん間違いだよな、って思っても、ほんとにそうかどうか、自分がそういう表現を知らねぇだけじゃねぇかどうか、よ~く調べてからじゃねぇと直せねぇ。

 

原文を翻訳者以上に理解したうえで、さらに、ゲーム全体の中でのいろんな関係性を踏まえて、もとの訳文をよ~く吟味してからじゃねぇと直せねぇ。校正とかチェックは、基本的に、翻訳者よりもそのゲームのことがわかってねぇとできねぇ仕事だと思う。

 

なのに、その依頼がくるときはかなり軽い感じでくるからだまされがち。えっ、このゲームのことぜんぜん知らねぇんだけどいいの?そんな、いきなりでも1日1万文字くらいひょいひょいこなせちゃうの?オラの少ねぇ経験では、ひょいひょいできたことなんてねぇ。毎回地獄みてぇだった。正直もうこりてる。

 

今のゲーム翻訳マンはこう考えてる。校正とかチェックとかレビューの仕事は、翻訳より単価が高かったら引き受けてもいいことにしよう。あとは、もし自分がどうしてもかかわってみたいゲーム(よく知ってるゲーム、好きなゲーム、すごく興味のあるゲーム)だったら、例外的にボランティア精神を発揮しちゃおう。その他の場合は、きほん全部パス。断る。で、翻訳に集中しよう。自分の翻訳では、校正とかチェックがいらないくらいの訳文に仕上げよう。オラの訳文を校正とかチェックしてくれる人が、ラッキー!って思うような、1日に何万文字でもチェックできちゃうような訳文にしよう。

 

じゃあ、またな!