ゲーム翻訳マンの稽古日誌

変身中はオラ。ふだんは私です。

ちと考える---ゲーム翻訳ってどーゆー感じ?

オッス!オラ、ゲーム翻訳マンだ。

 

ゲーム翻訳マンは、ヒーロー設定のくせしてけっこう本を読む。毎日1時間以上は読んでると思う。

 

昨日(20日Amazonで『ハンガー・ゲーム』の訳本(Kindle版)が安くなってた(今日はどうだか知らねぇ~)から、全巻まとめて買った。3巻で各巻上・下に分かれてるんで6冊。何年か前に英語の原書全巻読んだし、映画版も全部見た。なんか、語彙がゲーム翻訳に活かせそうな気がしたから、今回ほぼ衝動的に日本語訳を買ってみた。まだちゃんと読みはじめてない。

 

昨日は『無理ゲー社会』(橘玲)も安くなってたから、それも買った。今日はそれを90分ぐらい読んだ。まだ読み終わってないけど、かなりおもしろい。内容はゲームと関係ない。

 

ハンガー・ゲーム』の訳本を買って、ゲーム翻訳マンはちと考えた。この6冊ってやっぱ1人で全部訳してるんだよな。1巻から順に訳してるんだよな。それがフツーだよな。それが翻訳ってもんだよな。

 

オラがやってるゲーム翻訳はどうだ?1作品1人で全部訳してるか?なんか前に読んだ記事(下にリンクはっとく)では、社内翻訳だと1人でほぼ全部訳すケースもあるって書いてあった。

 

tsuhon.jp

 

けど、オラみたいなフリーの翻訳者が1人で最初から全部訳すってことはまずねぇと思う。基本的に分業。チーム翻訳。自分が訳すのは一部だけ。

 

どーゆー感じっかっていうと、たとえば『ハンガー・ゲーム』1、2、3巻の翻訳をゲーム翻訳みてーにやるなら・・・・・・

 

チームのリーダーであるPM(プロジェクト・マネージャー、翻訳会社の人)さんから、「じゃあゲーム翻訳マンさん、あんたはまずこのHG35のファイルを訳してね」って依頼がくる。オラが「HGって何?ちゃんとタイトル教えて」ってきくと教えてくれる(聞かねーと教えてくれないことが多い。ゲームによっては聞いても教えてくれねぇときもある)。

 

で、ファイルを開いて見てみると、もうストーリーはだいぶ進んじゃってて、すでにいっぱいキャラも登場してて、いろんな約束ごとが定まっちゃってるらしい。自分でよく調べると、うおっ、このHG35の部分って、『ハンガー・ゲーム』の2巻の第25章じゃん。いきなりそっから訳せってか?前の人たちがどう訳してるか知らねーんですけど。それに、原文を1巻からその部分まで読んでる時間もねーし。ってか、台詞いっぺーあっけど、誰の台詞か全然書いてねーし。なんか台詞の順番もグチャグチャにシャッフルされてるみてーだし。どうすんの?

 

PMさん、ヘルプミー!って信号を送ると、PMさん曰く。安心してちょうだい、翻訳支援ツールに「翻訳メモリ」と「用語ベース」が入ってる。「翻訳メモリ」には、これまで訳した部分の原文と訳文がセンテンスごとに対になって保存されてる。検索できるし、もし訳す部分が保存されてるセンテンスと同じだったり似てたりする場合は、自動的に表示される。「用語ベース」にはよく出てくる用語の対訳が入ってる。訳すセンテンスに用語が含まれてるときは、その訳が自動的に表示されるから。それにこのExcelシートを見よ。各キャラの名前の訳し方とか性格とか口調とかキャラ同士の関係とかがまとめてある。あと、これまでの各章の要約もあるぞ!

 

そりゃスゲ~、ってゲーム翻訳マンは早速そのExcelシートを見る。「翻訳メモリ」と「用語ベース」を使ってみる・・・・・・1時間ぐらい訳す・・・・・・こりゃダメだ。シートまとまってねー。どうでもいいことばっか書いてあって肝心なことが書いてねーし、なんかところどころ豪快に間違ってるし。「翻訳メモリ」の中の訳、ばらばらで統一性がねーし、やべー訳も多いみてーだし。「用語ベース」もなんか信頼できねー感じだし。どうすんの?

 

今んとこ、ゲーム翻訳マンにとってのゲーム翻訳はこんな感じかな。

 

じゃあ、またな。